★ SAYURI VS さゆり 頂上大決戦!(仮) ★
<オープニング>

「天災は忘れたころにやってくる」

 そう、誰もが記憶から薄れ欠けていたあの組織が動き出した!
 
−午前10:00 聖林通り 6月某日 日曜日−

 日曜の聖林通りはごった返していた。

 ムービースターたちによるストリートパフォーマンスが行われ、それを見る人。

 商店街からの買い物帰りの人。

 ムービースターを人目見ようとほかの街から訪れた観光客。

 実に多くの人達でにぎやかになっている。
 そんな聖林通りにキィィンというハウリング音が響いた。
 
「ア゛―――ッ!!!」

 キュワァァンという残響とともに、女の甲高い叫びが続いた。
 声の先にあったのはCDショップの2階部にある街頭TV。
 大型ビジョンには昼間にはそぐわない怪しい蝶マスクをかぶった女が映っていた。
「ないとくぃ〜んの、さゆりだよ〜」
 女は艶かしいというよりは、安っぽいアクセントで名乗り、手に持っていた鞭で肩をたたく。
「……ってのはどこのどいつだぁ〜い? アタシだよっ!!!」
 再びキュワワヮンと鳴る。
 いまや、道行く人すべての注目を集めていた。
「SAYURI! みているかぁい、見ていたら覚悟おしぃ……このあたしがぁ〜あんたをシバイてやるよっ!」
 画面に向かって鞭をたたきつけると、Blue Harpies
というロゴが表示された。

 だが、それも一瞬。
 すぐに

『しばらくお待ちください』

 という花畑の映像と、緩やかな音楽と真っ白い文字が流れ出した。

 とまっていた人々は動き出し、聖林通りは平和を取り戻す。

 だが、一部の人達はその足をSAYURIの泊まる銀幕ベイサイドホテルへと駆け出していった。

―同時刻 銀幕ベイサイドホテルスィートルーム―

 SAYURIは昼間だというのにワインを傾けながら、ナイトクィーンの宣戦布告を見ていた。
 その顔はいつもの余裕そうな顔はなく、どこか悲しそうだった。

「いやね、ヴィランズって……」

 それだけつぶやくとSAYURIはワインをぐっと飲み干した。

種別名シナリオ 管理番号146
クリエイター橘真斗(wzad3355)
クリエイターコメントはい、毎度おなじみ橘です。
突っ込みどころ満載なのはご理解いただけてるかと思います。

今回の目的はSAYURIを守ることです。
ブルーハーピーが真っ向からせめてきます。
ボスは「さゆり」と名乗る女王様なムービースターです。

鞭による攻撃とカポエラが得意です。

そのほかアマゾネスな部下を引き連れてきますので気をつけてください。

参加者
シャノン・ヴォルムス(chnc2161) ムービースター 男 24歳 ヴァンパイアハンター
リカ・ヴォリンスカヤ(cxhs4886) ムービースター 女 26歳 元・殺し屋
神宮寺 剛政(cvbc1342) ムービースター 男 23歳 悪魔の従僕
ブラックウッド(cyef3714) ムービースター 男 50歳 吸血鬼の長老格
鬼灯 柘榴(chay2262) ムービースター 女 21歳 呪い屋
梛織(czne7359) ムービースター 男 19歳 万事屋
<ノベル>

〜貴方に覚悟はありますか?〜

 SAYURI(サユリ)がワインをぐっと飲み干して、テーブルに殻のグラスを置いた。
「貴女は、女優を続けていく覚悟がありますか?」
 背後から聞こえた透き通るような声に、SAYURIは少し時間を空けて振り向いた。
「入ってくるときはノックくらいするのがマナーじゃなくて?」
 そこにいたのは曼珠沙華柄の深紅の着物、陶器のような白い肌の女。
 髪の毛は腰の辺りまで伸ばされた漆黒。
 瞳も光を飲み込まんばかりの黒をした日本人形のような姿をしていた。
 その女―柘榴(ザクロ)―は答える。
「ごめんなさい、私西洋の建物になれていませんの」
「そう。貴方……ジャーナルで見たわ。呪い屋の柘榴といったかしら?」
「ご名答。では、私が『何をしに』ここへ着たかも予想がついているのでしょう?」
 真っ白い柘榴の口元が微笑みを浮かべる。
 SAYURIはそれをしばし眺め、立ち上がり柘榴のほうへ歩く。
「ええ」
「この銀幕市にいるのなら、よく解る筈…貴女は何度も遭遇していますね」
 柘榴の言葉にSAYURIの足が止まる。
「貴方の『生き様』とも言えるでしょう、彼女たちの存在は避けられないものです」
「……そうね」
 表情は変わらないが、どこか返事が重い。
「今一度聞きましょう。俳優とは、命を吹き込む職業…誰かの人生の一部を生きる者です」
 一歩SAYURIが進む。
「見る者にとっては偽物でも、そこで生きる者にとっては真実」
 また一歩、SAYURIが柘榴に近づく。
「それを背負い続けていく覚悟が、貴女にはありますか?」
 SAYURIは柘榴の一歩手前まできて、柘榴の眼を見つめる。
「ええ、女優と生きることが私のすべてだから」
 言い切りながら、さらに近づくSAYURIに柘榴の笑みが強くなった。
「では、契約を……」
「けれど、呪いなんて間接な方法で逃げるつもりもないわ。帰って頂戴」
 柘榴の真横にきたSAYURIは柘榴と同じ笑みをしながら、柔らかに断った。
「そうですか、残念です……しかし、良いのですか? 彼女は貴方の……」
 何かをいおうとした柘榴の唇をSAYURIの人差し指がそっと塞いだ。
 
〜晴れところにより銃弾の雨〜

 その日の神宮寺剛政は上機嫌であった。
 自分の株取引が大当たりをし、主人に隠れて銀幕ベイサイドホテルのランチバイキングを楽しんでいるのだ。
「かぁ、うめー! 昼まっから美味い酒と飯にありつけるなんて最高だぜ!」
 もしゃもしゃとテーブルマナーのかけらもなく食べていると
 ズダダダダダンッ!
 銃声がロビーの方から鳴り響いた。
 ざわざわとランチバイキング会場が騒ぎ出す。
 ステーキを食いながら、剛政はそっと会場の外を確認した。
 そこにはアメリカ映画さながらの鍛え抜かれた肉体を水着のような服で覆った女性傭兵(アマゾネス)たちが闊歩していた。
 さらに、リーダー格のような人物は夜の女王様だ。
 高級感あふれる銀幕ベイサイドホテルにはまったく似合わない。
「なんだあのSM女王みてえなのは!? 胸の無駄にでかい女たちも多いし……」
 様子を確認するも声などは剛政のいるところからでは聞こえない。
「よくわからないが、事件だな……落ち着いてメシ食うためにもちょっと運動してくるか……」
 ステーキを飲み込み、剛政は駆け出す。
「誰だ!」
 その動きを巡回していたアマゾネスが剛政を見つけ、手に持っているサブマシンガンを放った。
 ババババババッ!
 軽快な音がなり、高価な花瓶や銃弾が砕け散る。
 剛政は左右に動きながら銃弾を交わしスライディングで足元へ迫り、アマゾネスを転倒させる。
「悪いけど、ちょっと眠ってくれよ」
 ガンッと延髄チョップをして気絶させる。
 しかし、銃声は多くのアマゾネスを呼び寄せることになる。
 ぞろぞろと足音が近づいてくるのが判る。
 けれど、後ろにはランチバイキングを楽しんでいる客がいる。
 後には退けない。せめて、彼らが逃げ切るまでは。
「全員銃を持った女かよ。やりづらいな……」
 ぼやきつつもホテルの柱を盾にしながら剛政は銃弾の雨の中に躍り出ていった。
 
〜ちょっとまった人違い〜

 1階で逃げている剛政を2階のテラスから見ていたさゆりは鞭をびしっと張った。
「あ”ー! いつまでやってるんだい! しょうがないね、あいつを抑えるのにも人員をさきな!」
 アマゾネスはうなづき、指示を出す。剛政のほうへぞろぞろと30人近い人員が送られる。
「残りはあたしとともにSAYURIをお仕置きしにいくよ!」
 そのとき、ドドドドっと強烈な足音と共に梛織(ナオ)がかけてきた。
 回転ドアをぐるんぐるんまわしながら転がるようにロビーへ出る。
「シャノンさん、早まるなぁぁぁっ!」
 周囲を見回し、女王様らしい格好をしたさゆりをみて、いきなり叫びだす梛織。
「シャノンって誰だい!」
「あれ?」
 そこにいたのはどこか貧相で、売れそうにもない女王様。
「貧相で悪かったね! 人違いしてんじゃないよ、このブタ野郎!」
 手に持っていた鞭が伸び、梛織の頬を叩いて戻る。
「ぶへっ!? 人違い?」
 まじまじとみると、やはりそれはシャノンではない。どこか(以下略)
「ええい、あいつもやっちまいなっ!」
 びしっと鞭を向けるさゆり。
 ロビーへ降りていくアマゾネスたちが梛織へ銃口を向けてババババババっと鉛弾をばら撒いていく。
「ちょ!? しゃれになってねぇ!」
 ごろごろと転がり、待合のソファーに隠れる。
 ドン
「ち、敵!?」
 ぐっと構えてぶつかった『何か』に向かう。
 しかし、ぶつかったのは敵ではなかった。
「梛織! お前はあいつらについてしってるのか?」
「神宮寺さん! いや、町で聞いた限りどうも女王様みたいなのがSAYURIさんに喧嘩を売ったとかどうとか」
 ババババと銃声が続き、ソファーがボロボロになっていく。
「なら、助けにいかないとやばいか……まずはこの相手をどうにかしないとだが」
「俺も神宮寺さんも殴るタイプだから、相性悪い……」
「まぁ、手はないこともないが……」
 ぐっと剛政は右手を握る。
「いいか、1、2、3で二手に分かれるぞ 1……2……さんっ!」
 剛政のカウント共に、梛織と剛政は逆方向に走り出す。
 ソファーが完璧に砕け散る。
 だが、その隙に剛政は能力を使い、何かをブン投げた。
「くらえぇぇっ!」
 空にまったのはジュースの自動販売機。
 思わずアマゾネスたちは銃を打ち込む。
 パリンとガラスがわれ、見本が砕ける。
 そして、中から缶ジュースが転がりだした。
「うちかたやめっ!」
 しかし、マシンガンではとまらず炭酸飲料に銃弾が打ち込まれはじけだす。
 ジュースによる雨がロビーに振り注いだ。
「今だ!」
 梛織がアマゾネスの一人に駆け寄り、膝蹴りからひじ落としのコンボを決めサブマシンガンを奪う。
「どけどけぇぇぇぇっ! 銃は慣れてないんだ流れ弾に当たってもしらねぇぞっ!」
 アマゾネスたちの足元へ銃を乱射しつつ道を作り剛政と共に炭酸の雨を梛織は二階へと駆け出した。
 
〜夜の女王は二人もいらない〜
 
 さゆりが2階からエレベーターに乗りスペシャルスィートのある階へ到着した。
 チーンという音と共にエレベーターのドアが開いていく。
 そこにいたのはさゆりと同じ格好をした一人の人物。
「キャラかぶってんじゃないよ!」
「そんなこといっているから、二流なのよ」
 ウェーブかかったブロンドを掻き揚げるその様は決まっていた。
「きー! あんたたちやっておしまい!」
 びっと、さゆりは指示をするもアマゾネスたちはシャナーンにウットリしていた。
「素敵なお姉さま……」
「お嬢ちゃんたち、怪我をしたくなかったら帰ってくれない? 貴方たちの情熱は女を磨くためにあると思うのよ。ね?」
 ふふっと微笑むシャナーン。それにぽーっと頬染めてしまうアマゾネスたち。
「ちょっと、たるんでるんじゃないよ!」
 びしっと鞭の一撃をうけ、正気戻るアマゾネス。
 しかし、一部はシャナーンの虜となっていた。
「とにかく、すすむよっ! 撃って撃って!」
 エレベーターから降りて進みだすさゆりたち。
 シャナーンはガーターベルトに収められている鞭を取り出すと、銃弾をすべてそれではじいた。
「ふふふ、これでもまだやる気?」
 つかつかとしなを作りながらさゆりに迫るシャナーン。
 ゆれるブロンドから甘い香りが漂っている(気がする)
「やっぱり、凄腕の先生を雇っておいて正解だったようね! 先生、どうかお願いします!」
 エレベーターの出入り口からさゆりが退くと、ウェイトレスの格好をした女性がでてくる。
 しかし、かわいらしいその服もスレンダーではあるが鍛え抜かれた肉体にぴちぴちであり。
 歩く姿には一瞬の隙もない。
「はぁい、イケナイ子達に愛と制裁と、殺戮を届けるおねーさんよ〜」
 ”泣く子も黙るパティシエ”リカ・ヴォンスカヤの登場であった。
 
〜オトメ心と秋の空〜

「げ、リカ」
「いきなり呼び捨て? ママにどういう教育受けたのかなぁ〜ん、クソ野郎!!」
 にっこり微笑んだかと思うとキッと眼を光らせてナイフを投げた。
 シャナーンは鞭で対応するも、リカの手入れされたナイフはやすやすと鞭を切り裂く。
(さすがに暗殺者かというか、なんとかしないとまずいな)
「ふふん、無駄なことしないで大人しくキャロットケーキを返しなさいっ!」
 手をかざすポーズをとるだけでナイフが何本もシャナーンに向かって飛んでくる。
 縦横無尽に転がり、よけるもナイフは壁に、床にささる。
(ちっ、逃げ場をじりじり消されてる……)
 そう思考を巡らせていると、ナイフがシャナーンの腿を切り床にささった。
「しまった!?」
 バランスをくずすと体を固定するかのようにナイフが次々刺さってく。
 シャナーンはあっという間に1mmも動けないほど壁に張り付けにされてしまった。
「ふふふ、ナイフは後一本。さぁ、キャロットケーキのありかを教えて?」
 リカはシャナーンに近づきながら、ナイフをぺしぺしさせてにっこおりと微笑む。
「さっすが、先生! 私は目的を果たしにいってきます!」
 さゆりのほうは勝負がついたのを見届けると、SAYURIのいるスペシャルスウィートへ駆け出した。
「く、まてっ!」
「貴方の相手は私よ……キャロットケーキの……」
 そのときだ、チーンとエレベーターが到着し、ドアが開く。
 シャナーンとリカの視線がそちらへ向く。
「あれ、リカと……シャ」
「シャノンさん、あんたって人はっ! あんたって人はっ!」
 出てきたのは弾の切れたサブマシンガン(ほぼ鈍器)をもった梛織と、びしょぬれになった剛政だ。
「キャー! 剛政じゃないの! こんなところで出会えるなんて運命?」
「それは多分、違う……かもしれない……」
 剛政は素直に突っ込めずに口ごもる。
「って、それどころじゃなかった! リカさん、シャノンさんこんなところで争っている場合じゃないです! 早くしないとSAYURIさんが!」
「そうだった。リカ、ちょっと手を貸してくれ。さゆりとかいうヴィランズがSAYURIの命を狙ってる」
 エレベーターから飛び出し、惚けたアマゾネスたちを押しのけてスペシャルスィートへ走る。
「うそ、あのビッチ私をだましたのね!! どう料理してやろうかしら」
 剛政にあっさりと説得されリカはシャナーンへ攻撃するのをやめた。
 しかし、さゆりはすでにスペシャルスィートへ向かっている。
 時間はすでにない。
 だが、あきらめるわけにはいかない。
 一同は走りだした。
 
〜帝王と女王〜

 さゆりはスペシャルスィートへ走っていた。
 しかし、どこからともなく霧が周囲を多い、視界が失われていく。
「あ”−、いったい全体どうなってるんだい!」
 さゆりの苛立つ叫びに霧の中から、ベルヴェットヴォイスが帰ってきた。
「初めまして、夜の女王陛下。お会いできて光栄だよ」
 ゆっくりと霧の中に人影が現れ実体化していく。
 きりっと締まったスーツ。
 整えられた髪。
 見つめられたら女神でさえ恋に落ちるであろう甘いマスク。
 銀幕市を代表する”夜の帝王”ブラック・ウッドその人だった。
「何故、貴女はSAYURI嬢を狙うのだね?己と彼女を比べて、劣等感を抱いていることの裏返しなのかな? ならば、その劣等感は抱く必要のないものだよ」
 さゆりの前に立ち蝶マスクを優しくとる。
 彼女の素顔を見てふふっと微笑み。
「なるほど」
 とつなげた。
「貴女には、貴女ならではの魅力があるのだから」
「そんなものがあったら、早く売れてるよ!」
 照れ隠しなのか頬を染めて膨れるさゆり。
 ブラックウッドはそんな彼女を子供でもあやすかのように頭を撫で、抱き寄せた。
「ちょ、ちょっと!?」
 ブラックウッドの顔がさゆりの唇に迫る。
 しかし、キスが施されたのは唇ではなく首筋。
「はっ……あぁ」
 思わず、あられもない声をあげるさゆり。羞恥心がさらにさゆりを火照らせた。
 ブラックウッドの牙の後が白いさゆりの首筋にくっきりと残る。
 彼なりの愛の証だ。
「それでは、女王様ごきげん……」
 去ろうとするブラックウッドをさゆりがぎゅっと抱きしめる。
「仕方のないお嬢さんだ。夜はこれからだ。明日の朝までお相手しよう」
 バッとブラックウッドがマントを翻すと二人の姿も、霧も消える。
 残ったのは昼間のホテルにそぐわない蝙蝠だけだった。
 
〜天災は忘れたころにやってくる〜

 スペシャルスウィートにたどりつくも、そこにさゆりの姿はなく。
 室内にいたのはSAYURIと柘榴だけだった。
「あれ? さゆりは?」
「貴方たち以外に誰もはいってきていないわ……けれど、ノックもなしにはいってくるのはマナー違反じゃない?」
 拍子抜けしたと顔に書いてある梛織にたいして、SAYURIは薄く微笑みながら注意をする。
「まぁ、なんとかなったんかな? 裏でアノ人が動いていたみたいだし……」
 剛政はブラックウッドの力の残瘴を感じ取っていた。
 主人との契約によるものなのかはわからない。
「まぁ、私の手でどうにかできなかったのは残念ね」
 リカが残り一本になったナイフをもてあそびつつため息をつく。
「あ、そうそうそういえばこんなのがあったわ」
 SAYURIが何かを思い出したかのように部屋の置くからキャロットケーキを来客テーブルに置いた。
「あ、これは私のキャロットケーキ!」
 うれしそうに飛び跳ねるリカ。
 ビシシシーンと、剛政と梛織、シャノン、柘榴に戦慄が走った。
「リカが『作った』のか?」
「そうよ〜。はい、剛政と。梛織も食べたがってたわよね〜」
 手に持っている投擲用ナイフでキャロットケーキを切り分けるリカ。
 絞首台への階段を上っている気分になってくるのは気のせいか。
「SAYURIさんや、柘榴、シャノンもどう?」
 リカが笑顔でといかけるも柘榴の姿は消えていた。
「私はいいわ。体形維持中だから」
「俺もちょっとこの格好治しにいかないと……」
「二人ともずるいっ!」
 梛織の悲痛な叫びも聞き入れてもらえず、二人ともそれぞれテーブルから離れた。
「もう、涙を流して喜ぶなんてお姉さん感激しちゃうっ!」
 ノリノリのリカは直径15cmのケーキを一口サイズに切り分けて剛政と梛織に配り分けた。
「の、のぅ……」
「梛織、男なら……食え」
 腹を決めた剛政の顔はとても男らしい。
 梛織もうなづき、ケーキへ震える手を伸ばす。
 
 1時間後
 
 ヴィランズとの戦いよりもハードだった。
 腹の中で核戦争が起こっているような気分を二人は味わった。
 皿が空になったのを満足そうに見つめ、リカはいう。
「これでわたしがフツーの女の子だって分かったでしょ? ちゃんと料理もできるんだからっ♪」
 梛織は真っ白になってテーブルに突っ伏していた。
「そうだな……まぁ、あれだ。次はもっと上手く作れるように頑張りな……」
「そうね、剛政がイチコロになるようなケーキを作って見せるわ♪」
(別な意味でイチコロになりそうだ……)
 そう思いつつ、剛政はスペシャルスウィートの天井をずっと眺めていた。

クリエイターコメントどうも、完成しました!

いやー、なんというかすごいメンバーでいろいろ悩みました。

いろいろと皆さんのプレイングを統合してみたところこんな結果となりました。

突っ込み役の二人が突っ込めてないような気がしますが、このメンバーならこんな具合かもと思います。

ご意見、ご感想、ご要望などはファンレターなどで受け付けております。

よろしければ遠慮なくお申し付けくださいな。

それでは、運命の交わるときまでごきげんよう
公開日時2007-06-30(土) 20:50
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